一般的に1歳半から3歳くらいの子どもが「イヤイヤ期」に入ると聞いていましたが、これほどまでに大変だとは思いませんでした。我が家の2歳の息子も、特に朝の時間が一番の難関です。仕事に出かける準備をしながら、息子を保育園に送り出すための支度を進めなければいけないのですが、そのたびに「イヤ!」の連発で思うように進みません。
着替えをさせようとすれば「イヤ!着ない!」、朝ごはんを出せば「イヤ!食べない!」と全力で拒否され、時には泣き叫ぶことも。何とか説得しようと試みるのですが、息子が嫌だと思ったら最後、なかなか気持ちを切り替えてくれないのです。
最初は私も心を落ち着けて気長に対応していましたが、毎朝これが続くとだんだんとこちらの気持ちにも余裕がなくなり、「早くして!」「何で言うことを聞かないの!」と声を荒げてしまうことも増えてしまいました。そのたびに自己嫌悪を感じる一方で、仕事への遅刻も頭をよぎり、プレッシャーばかりが募る日々でした。
朝の準備は本来なら30分程度で終わるはずが、息子の「イヤ!」で1時間以上かかることがザラでした。例えば、着替えの場面では、パジャマを脱がせようとすると全力で逃げ回り、捕まえても体を硬直させて「着ない!」と泣き叫びます。脱がせるだけで私は疲労困憊。それが終わったかと思えば、用意していた朝ごはんを見た途端、「いらない!」「パン嫌い!」と怒り出すのです。
息子の気分次第で場の空気がガラリと変わるこの状況に、私も夫も手を焼いていました。話を聞いてみようにも、2歳児なりの「今はこれをやりたくない!」という感情が強くて、説得はほぼ不可能です。毎朝が戦場のようで、私自身も保育園に送り届けた後にはすでにぐったりしてしまう状態でした。このままでは息子と向き合う時間が「楽しい」ものから「苦痛」に変わってしまうのでは、と不安を抱えていました。
そんなある日、ふと「息子が自分の意思を持っているのなら、それを尊重する形にしてみよう」と考えました。そこで試してみたのが、選択肢を与える方法です。
まずは朝の着替えで、3枚の服を取り出し、「どれがいい?自分で選んでごらん」と声をかけてみました。すると、それまで「イヤ!」と言っていた息子が少し考えたあと、「これ!」とお気に入りのキャラクターのプリントが施された服を指差し、自分から進んで着替え始めたのです。驚いたと同時に、「これならいけるかも!」と私は思いました。
朝ごはんでも同じように、「パンとおにぎり、どっちがいい?おいしそうだよ~」と選ばせてみました。すると息子は「おにぎり!お魚入れて!」と元気に答え、いつもより嬉しそうに食べ始めたのです。時には選択肢を与えて選ばせてみても気が変わって「食べない!」と言われることもありましたが、多くの場合自分で選んだことに満足している様子でした。
息子に選択肢を与えることで、彼が「自分で決めた」という達成感や納得感を得られるのではないかと感じました。結果的に、彼の機嫌が良くなり、準備がスムーズに進むようになったのです。
この経験を通じて気づいたのは、イヤイヤ期の「イヤ!」は、単に親に反発しているのではなく、自分の意思や感情を表現したいというサインなのだということです。特に2歳児はまだ言語能力の発達段階。うまく気持ちを表現できないもどかしさも手伝って「イヤ!」という言葉が出てきてしまうのかも知れません。しかし選択肢を与えることで、息子にとっては自分で選んで決めるというプロセスがとても大切だったのだと思います。
同じようにイヤイヤ期で悩んでいる方がいれば、ぜひ「選択肢を与える」という方法を試してみてほしいです。服でも食べ物でも、子どもが自分で選べるような環境を作ることで、親子双方にとってストレスが軽減されるかもしれません。
もちろん、この方法が全ての場面でうまくいくわけではないですが、少なくとも我が家では劇的な変化がありました。息子の「イヤ!」に悩むことがぐっと減り、朝の時間が以前よりも穏やかになった今、少しだけ余裕を持って保育園へ送り出すことができています。
イヤイヤ期は子どもの成長の一環とよく言われますが、それを親も一緒に乗り越えることで、新たな関係性が築けるのかもしれません。
出典:pixbay